覚えて周りと差をつけよう!金型「かじり」の種類と原因
スライドコアやエジェクタピン、エジェクタスリーブとセンターピンなどに「かじり」が発生することがあります。
「かじり」は、摺動面の異常磨耗のことで、異常磨耗には発生原因も様々です。
かじりを生ずると、キャビティ、コアには致命的なダメージを生ずることになり、エジェクタピンやスライドコアが作動不良を起こすと、金型を破損することに直結してしまう危険があります。
かじりを防止するためには、金型製作時の確認はもちろんのこと、潤滑管理も適切に行う必要があります。
※発生要因として5つ上げるが、基本的には【アブレシブ摩耗】【擬着摩耗】【疲労摩耗】の3つのどれかが要因になっている場合が多い。
■1. アブレシブ磨耗(アブレージョン=ざらつき摩耗、研磨摩耗)
摺動する金型部品の材質に硬度の差がある場合に生じやすい異常磨耗形態です。
すべりあう物体の表面は平らに見えていても凸凹があります。
その界面で凸凹がかみ合って抵抗し、摩擦を起こし、摩耗が生じます。
この場合の摩耗には主に2パターンの要因があります。
a.硬い方の材質が柔らかい方を削る場合。
b.2面間に挟まった硬質な粒子(外部から混入するものや、摩耗粉が加工硬化したもの)が表面を削る場合。
特徴としては、潤滑状態が比較的良好で、凝着が少ない時の摩耗形態で、ほかの摩耗に比べ摩耗量の多いことがあげられます。一般的には表面が硬質である程、耐研削摩耗性は良好になります。
そのため金型への焼き入れや窒化処理などが有効になってきます。
(実際には衝撃的な力が作用したり、硬質粒子の埋め込みがあったりしますので硬さだけではなく弾性的性質も考慮にいれる必要があります。)
スポンサーリンク
(adsbygoogle = window.adsbygoogle || []).push({});
■2. 凝着磨耗(接着で起こる摩耗)
接触し互いに滑り運動している面間において、突起の一部が接触し金属的に結合(凝着)すると、次に滑り運動により凝着が起こっている表面がせん断により破壊される現象をいいます。凝着部分が破壊されると磨耗粉になり、磨耗が進行する形態です。
物理的には、凝着した界面の結合が強い時、弱い方の金属がむしり取られ相手材の表面に付着します。このように凝着摩耗は固体同士の化学的な結合によって起こるので、当然同種材では起こりやすく、結晶構造が同じで、格子定数が近い材料の組み合わせや、固溶体を作りやすい元素の組み合わせで起こりやすいとされています。
かじり以外にも金属の焼き付も凝着摩耗が原因となっています。
防止策としては
①潤滑材により金属同士の接触を防ぐ(グリスなど)
②表面処理により凝着しにくい皮膜をつける (メッキなど)
などが有効です。
■3. 疲労磨耗(表面疲れ摩耗)
金型部品が動いたり停止したりを繰り返すことによって疲労が発生し、磨耗する形態です。うろこ状の剥離(フレーキング)を生じている場合の形態です。ころがり接触やすべり摩耗において、垂直荷重と摩擦力がくり返し 作用することによる疲労によって起こる摩耗。
普通は金属表面層にクラックを生じ、それが内部に進行し、クラックから金属粒子が摩耗粒子と言うかたちで 切り離されることをさします。
一般的に「金属疲労」と呼ばれるものの微視的な状態を指すこともできます。
■4. 微動磨耗
比較的クリアランスの小さなはめあい状態においてピッチング状の磨耗を生ずる磨耗形態です。(金属摩耗におけるピッチングとは物理的または機械的な作用による金属表面に発生する微細な浸食穴。)
■5. 腐食磨耗
樹脂に由来する化学成分や水分、イオンなどの腐食雰囲気において、
金型部品同士に電位差を生じることにより磨耗が発生する形態です。
(電気化学的作用による腐食をコロージョンということもある。)
硬質粒子のコンタミいがいにも潤滑油がダイヤモンド化してカジリが起こるということがSLD-MAGICの開発者、久保田博士が提唱していますね。